Vol.07 「けんちゃんのクリスマス」
今週末は特別支援学校の終業式。北国特有の長い冬休みに入る。寄宿舎も同様に閉舎となるので、子どもたちは家に持ち帰る荷物の整理に追われている。いつもなら身の回りの片付けを嫌々やる子たちも、このときばかりは動きが早い。衣類をぱんぱんに詰めたボストンバッグが部屋の片隅にまとめてある。帰る準備は万端だ。
Vol.06 「けんちゃんの修学旅行」
けんちゃんが「気持ちを落ち着かせる部屋」から、ひょいと顔を出して私に手招きをしている。眉間にちょっと皺を寄せ、難題を抱えているようにも見えるし、喜びを隠すためにわざと険しい顔をつくっているようにも見える。
Vol.05 「けんちゃんの気持ちを落ち着かせる場所」
今月は夜勤が頻繁に入っている。いったい誰が楽をしているんだ、くそ、と思いながらシフト表を指でツーッとなぞって点検した。私と同時期に入ったMさんの勤務日が極端に少なかった。その分が私にまわってきたのだ。知ったところで仕事が楽になるわけではない。むなしい作業であった。
Vol.04 「けんちゃんの単独架空公演」
けんちゃんが寄宿舎の廊下で大きな溜息を吐いた。あえて気付かないふりをしていたら、数歩そばに寄ってきて、よりわかりやすく「ふう」と息を吐いた。彼にはそういうちょっと面倒くさいところがある。聞いてほしいのだ。
Vol.03 「けんちゃんのファミリーコンサート」
「コ、コンサートで歌う曲が、かっ完成したんだけど、ち、ちょっと見てくれるかな?」 けんちゃんが大学ノートを脇に抱えてやってきた。一週間にわたるペプシ禁止令が解けた今、彼の表情はいつになく晴れ晴れとしている。
Vol.02 「嵐は自分の使ったお金がわからない」
寄宿舎の一階にある食堂ホールで夕食を済ませた生徒たちは、消灯時刻の二十二時まで思い思いに時間を過ごす。談話室でテレビを観たり、友達同士でスマホゲームに夢中になったりしながら、短い夜のひとときを楽しんでいる。
Vol.01 「ぼかぁペプシが飲みたいだけなんだ」
懲りたはずなのに、また子ども相手の仕事を選んでしまった。特別支援学校高等部の寄宿舎指導員。月に何度か夜勤もある。トートバッグに歯ブラシ、洗顔フォーム、眼鏡、爽健美茶や不二家ルックチョコレートなどを詰めていく。