書店員さんからの感動の声
不規則な言動を繰り返すけんちゃんはめんどくさい。
できることであれば関わりたくはない。
そんなめんどくさいけんちゃんに関わった人たちだけが見られる、人の美しさがある。
けんちゃんのきっとありもしなかった話を「噓」と評価せず、「空想の海を泳いでいる」と見つめられる人たちだけが得られる発見がある。
「自分」を教えてくれるのは常に「他人」だ。
ときに厄介で、ときに愛おしくなる他人。
『けんちゃん』を読むと、寒空の中を歩いて自宅で熱い風呂に入ったときに身体の芯がゆるむような、そんな感覚になる。
――伊野尾宏之さん(伊野尾書店)
けんちゃん。
想像力の豊かな詩人で、素直で、おてがみを書くのがすき。なんて魅力的なひとなんだろう。
からだ全部を使って表現する怒りも、少しキザな振る舞いも、どれも憎めない。
簡単に、この物語が好きって言っていいのかわからないけれど、このお話に出てくるひとはみんな一生懸命生きていて、ひとのことを考えられるひとで、そこが好きだった。
考えて悩んで立ち止まることもある。人間はみんなそうだろう。
止まって、ゆっくりして、ちょっと場所を変えてみたりして。そうやって息のしやすいところへ移動しながら、好きなひとを増やしながら、好きなことも増やしながら、健やかに生きていきたい。
シンプルで究極の願いが見えた気がした。
コンビニの店員さんの七尾光。けんちゃんの次に印象深い登場人物だった。
彼のフラットな考え方には憧れた。 素直にひとと付き合っていくのは、大人になるほど難しいけれど、自分次第で出来ないことではないのかもしれない。
少し勇気がわいてくるような物語たちだった。この作品を読んでいる間優しい気持ちになれた。
――伊賀理江子さん(福岡金文堂 志摩店)
かわいそう。~してあげたい。そういう傲慢な考え方はバッサリ切り捨てられた。
けんちゃんの自分に正直なところ、純粋さ、感謝の手紙を書いたり、お願い事をしたり、それらは私たちのこり固まった心をほどいてくれる。
けんちゃんとふれあった人たちは化学反応を起こして、自分らしさを意識し、一緒に楽しもうという気持ちが生れる。
けんちゃんは自分の心に光を灯してくれる。
――山中真理さん(ジュンク堂書店 滋賀草津店)
綺麗事なしだから、より眩しく感じ、素直に受け止められるのだと思う。
家族が障害者、本人が支援学校の生徒、大きな声を出されて怖い思いをしたことのある人、色々な立場の人の色々な気持ちがきちんと描かれている。
私は、名前も知らないけど、いつも大きな声で挨拶をしてくれる女の子に元気をもらったこともあれば、駅のホームで大声を出す男性に驚いたこともある。
色々な人がいるのだから、「ふつう」「障害」それですべて綺麗にわけられるわけじゃないよなあ、「ふつう」の人だって怒りっぽかったり、神経質だったりするよなあ、などと思ったり。
だから七尾くんの「同情が憐れみではなく」「障害のある人もない人も互いを知り」という言葉が刺さる。
けんちゃんの魅力は、自分に正直で、一生懸命なところだと思う。
「ふつう」「障害」関係なく、人として憧れる。そして、とても癒された。
――藤井亜希さん(紀伊國屋書店 相模女子大学ブックセンター)
ハンディキャップを抱える高校3年生のけんちゃん。彼の自分の気持ちにまっすぐな言葉にふれ、みずみずしい気持ちがあふれました。
そして、けんちゃんと出会った人々の胸に秘めたもやもやが、ゆっくりと溶けていく。
その様子に温かな共感が広がりました。 もう、全身全霊で感情を表現するけんちゃんが最高に愛しく大好きです!
自分も相手も大切にする、やわらかな心に包まれていくような物語。
私もけんちゃんに出会えて、とても幸せです。読み終えた後、ほっこりとした笑顔がこぼれました!
――宗岡敦子さん(紀伊國屋書店 福岡本店)
「障害のある子ども」を描くものはあっても、「特別支援学校の生活」に踏み込んだ小説はそんなに多くないのではないかと思うし、そこに関わる大人の向き合い方を見て非常におもしろいと感じた。正直で素直で時にすばしっこいけんちゃんを見ているうちにその言動に惹かれ、自らも引っ張られていく。不思議な力があるけんちゃん。
私もペプシで激怒するけんちゃんを一度は見てみたい! (不謹慎) 心温まる素敵な話でした。
――長尾香依子さん(ジュンク堂書店 名古屋店)
一言でいえば「いつも心にけんちゃんを!」です。
まっすぐで自然体で真剣で面白くて率直。実はコミュ力あるけんちゃんを通して皆が前向きになっていく。こだまさんの文章も『おとちん』同様、モノローグが最高すぎます。 私は今日も仕事忙しいよな……っていう日の仕事前に読んで力になりました。自分への、誰かへのギフトにもおすすめです。
――大橋加奈子さん(ジュンク堂書店 神戸住吉店)
けんちゃんの心はきっととっても純粋なんでしょう。
だから、けんちゃんと出会った人は変わっていく。変えられていく。
もちろん良い方向へと。
人間、大人になるにつれていろいろと考えてしまって本当にしたいことが分からなくなってしまう時がある。そんな時はけんちゃんのように、自分の心に素直に行動することが出来れば。そうすればきっと人生は今よりも素敵なものになるんじゃないかな?
――坂井健一郎さん(戸田書店 藤枝東店)
ときどきクスっと笑わされたり、心の隙間にある固定観念を鷲摑みにされたり、そんな中でも共感が多い物語だった。
人と特徴が違ったり一緒だったり、同じ診断名であったり、障がい持ちの兄弟や家族がいたって、みんなそれぞれ全然違う。いろいろな思いや悩みを抱えながら生きてる。けんちゃんというすこし普通とは違った世界観に触れた四人が、けんちゃんのパワーに触発されたかのように生き生きとする姿が印象的だ。
少年であり、しかし謎の貫禄と校長先生みたいな堂々たる言い回し。とても魅力的なけんちゃん。読んだ私まで彼のパワーと愛嬌に触発され、自然体を促されるような気持ちにさせてくれる。
読み終える頃には、ペプシ立て篭もり事件がなんだか懐かしくなり、読者はみんなすこし寂しくなるに違いない。それぞれの新たな羽ばたきを嬉しくも寂しくも感じる学舎は、普通の学校だとか特別支援学校だとか、関係なくキラキラしていた。
私の息子も特支に通う小学生だ。未来の息子の姿を物語にしてもらえた気分だった。そして『けんちゃん』を通して、きっと何歳になろうとも、変わらず愛しいのだろうと改めて思えた。こだまさんに感謝したい。
――岩谷妙華さん(須原屋 ビーンズ武蔵浦和店)
マイペースで、時に頑固で、好きなことにまっすぐエネルギーを注ぐけんちゃん。支援学校に通うことに戸惑いを感じる若山さん。最初けんちゃんへの対応に緊張していた多田野さん。引率の先生次第でけんちゃんの反応が全く違うことに気がついた七尾くん。障害のあるなしにかかわらず、人と人が関係を築く上で大切なのは、何よりも互いを知ることだと彼らの歩みを見ていて感じました。多田野さんと鹿野さんのような、自分の気持ちを「評価」されずにただ話せるような人がいたら、きっと心強い。誰にだって、けんちゃんのように「ひとりになる部屋」にこもることが必要な時がある。
社会に出て生きていくことへの不安や心細さを勇気に変えてくれる物語に心がじんわり温かくなりました。
我が家には特別支援学校の高等部に通う自閉症の娘がいます。
気になるものがあるとこだわって動かなくなってしまったり、喜ぶと思ったらあっさりした反応だったり、些細に思えることで怒ったり、一瞬目を離した隙に迷子になったり。けんちゃんの言動に何度も我が子を重ね、障害をもった子どもたちと接するうちに、次の一歩への光を見出していった主人公たちの心の動きには私の心も明るく照らされていくようでした。
一方で、障害者の言動に戸惑ったり怖さを感じてしまう人がいることも描かれている点に感心しました。 急に大きな声を出されたり、予想しない動きをされたりしたら誰だって怖い。そんな一見ネガティブな感情も否定されずそのまま存在しているところが物語としてリアルで誠実だと思います。
社会の中にいろいろな特性や経験を抱えた人たちがいることを優しく描き、自分と他者が理解し合いながら前を向いて歩いていくことはそんなに特別で難しいことではないのだと教えてくれる、素敵な作品に出会うことができて嬉しいです。
――塩 里依子さん(くまざわ書店 西新井店)
けんちゃんの眼差しで世界を見ることが出来たなら、これまでに見落としてしまっていた、いくつものささやかな光を見つけられるのかもしれない。
この作品に出逢うのがあと9年早かったら、私の未来も変わっていたかもしれないと思います。
けんちゃん、いつまでも、光のなかに立っていてね。
――市川真意さん(ジュンク堂書店池袋本店)
自分が感じていることを上手に口に出せず、地団駄を踏んで途方に暮れる時があっても良い。
幸福だけじゃない、生きていて逃れることができない小さな疑問と不安を抱えながら過ごす日があっても良い。
そして心が息苦しくなってどうしようもなくなったら、この本をそっと開いてみると良い。
人生何とかならなそうでも、いずれは何とかなるのかもしれない。こだまさんやけんちゃんや色んな人の想いが、ゆっくりじんわりと温かいスープを飲んだ時のように身体の隅々へ染み渡っていった。
――山本亮さん(大盛堂書店)
健常者から見ると、大きな声を発したり、動きかたがぎこちなかったり、奇異な行動を取ってしまう障害者のかたを見かけると、どうしても、ある種の怖さや違和感を覚えてしまったりしますが(お店にもいらっしゃったりします)、実際、それは、偏見にほかならないのかもしれませんが、この『けんちゃん』という作品を拝読して、遠巻きに見たりせず、もっと積極的に、障害を持つかたに関わっていきたいと思いました。関わっていくことで、もっと交流を持てて、世界が広がって、とても、楽しいだろうなあと思いました。
その障害の軽度重度にかかわらず、みな、一生懸命に生きていて、考えていて、それが、とても、眩しい。
けんちゃんを通じて、唯子ちゃんも、ただの地味子さんではなくなり、水上さんも、ランキング第一位の記者さんになり、七尾くんも、親切なペプシのお兄さんになり……と、今までの自分が、なんたか、解放されて、新しい自分に生まれ変わったような、そう、自分がやりたいからやる!という、自分に素直な気持ちになって行動を起こすことができる、今まで、どうしても、気弱になったり、怖くて出来なかったことも、チャレンジしていこうと思えるようになったのは、けんちゃんの、その、まっすぐな、行動からではないでしょうか。
けんちゃんの気持ちも、とってもまっすぐでキラキラしていて、確かに、ときに、何時間も閉じこもってしまうのはしんどいことだけれども、かれのピュアな心が、みんなに伝播し、良い方向へ導いていったのではないかと思いました。
ふつう、と言われるひと以上に人間らしいけんちゃんだからこそ、みなに愛されるのではないでしょうか。
七尾くんの考えかたは、とても、素晴らしくて、健常者だから、こう、障害者だから、と、いう、枠にはまらないというか、その垣根を超えて、結局、どっちも人間だろ?というような、広い心が、そんなふうに考えられる器の大きさを感じられて、とても、カッコいいなあと思いました。
どうしたって、やはり、人とは違うところを敏感に感じとって、それを攻撃してしまう人間も多く、それは、ある種、本能とも呼べるものかもしれません。
でも、そのわだかまりを、なくしていこうとする心掛けって、ほんとうに、大事だなあと思いました。そうしたら、バザーのように、楽しい集いになるのではないかかあと思いました。
葉月ちゃんは、症状としては、軽度?なだけに、分別?みたいなものや、プライドがあって、その分、余計に苦しく見えました。私は、彼らとは、違うんだ、と。その狭間で息ができなくなって、ちょっと、逃げ出したくなる気持ちは、痛いほどわかって、反発して、色々な行動に出てしまう。親としては、葉月ちゃんのお母さんの気持ちも、なんとなくわかって、どうしたら、子どもが生きやすいように、居心地の良い場所を作ってやれるのか、模索している気がしました。「普通」でいたいのに、「障害者」という枠を張られてしまうのは、普通でありたいという思いがより強い分、やはり、つらいことで、どうすればよいのか、身の置きどころがわからなくなってしまう、葉月ちゃんの気持ちも、痛いほど、わかりました。
なにが正しくて、なにがいけないのか、きちんとは、言い表せないかもしれませんが、ともに、仲良く生きていける世界を、少しでも作っていくことができたら!
ひととひととをつなぐための、なくてはならない温かさが、この作品ではないかと思いました。
――江連聡美さん(芳林堂書店高田馬場店)
日々、普通に生活していると、自分からみた世界にしか気づけないですよね。そもそも、僕の「普通の生活」が、「他の人にとっても普通なの?」とか、「普通ってなんだよ」とも思います。また、思いもかけないところで、誰かの人生と大きく関わっていたりすることもあったりします。みんな普通に生活してるだけなのに。「普通に、一生懸命生活してる」ってことが誰かを幸せにしたり、誰かの人生に少し関わることで自分もちょっと幸せになるかも? そんなことを、けんちゃんや彼を取り巻くストーリーの中から感じました。お休みにホッコリ読むのにオススメです。
――手林大輔さん(書泉代表取締役社長)